東北地方太平洋沖地震の震源断層群を探る |
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東北地方太平洋沖地震の震源断層パラメータと類似するスペックのデータはどこまで分布しているか、を調べてみました。 東北地方太平洋沖地震(2011/03/11 14:46 M9.0) 本震が発生する2日前に、前震(2011/03/09 11:45 M7.3)が発生しました。 本震発生1ヶ月前から本震の震源に向かうゆっくりすべりの伝播が明らかにされています(加藤愛太郎他「東北地方太平洋沖地震発生前に見られたゆっくりすべりの伝播」)。 ここでは、前震の発生後~本震の発生前までの余震データから前震の震源断層面沿いに発生した余震を抽出し、日にち別に色分けしました(図1)。 9日(青色)は前震の西北に多く発生していましたが、10日(緑色)には本震の北側にも多発するようになり、11日(赤色)はまんべんなく発生しています。
本震の震源破壊過程については多くの報告がされています。 150秒に及ぶ破壊時間で、最初は宮城沖の震源周辺で破壊が進んだ後、西側(陸側)に破壊が進行。 さらに日本海溝沿いの南北にも破壊が拡大し、岩手沖・宮城沖・福島沖・茨城沖の広範囲の領域で西側(陸側)へ破壊が進行しました。 東北地方太平洋沖地震の震源断層領域で発生した地震データの中から、次の4つのデータに注目しました。 ・本震:2011/03/11 M9.0 宮城沖(下記のNo.06) ・前震:2011/03/09 M7.3 宮城沖(下記のNo.05) ・逆断層型の北側最大余震:2011/03/11 M7.4 岩手沖(下記のNo.07) ・最大余震:2011/03/11 M7.6 茨城沖(下記のNo.08) これらの震源断層パラメータと類似するデータ群を次の5つのブロックに分けて調べてみました。 Aブロック 青森沖・浦河沖 Bブロック 岩手沖 北側最大余震・逆断層型が発生 Cブロック 宮城沖 本震、前震が発生 Dブロック 福島沖・茨城沖 最大余震が発生 Eブロック 千葉沖
連結・リンク情報 表1掲載のデータ間の連結・リンク情報を表2にまとめました(表2ではデータを北から順に並べ替えています)。 リンクの次数(nth)は最大4まで求めています。 (1) 直接連結(nth=1)をみると、 ・No.06(本震)は、No.05(前震)、No.04(福島沖 M6.1)と直接連結。 ・No.05(前震)は、No.06(本震)、No.03(宮城沖 M7.2)、No,07(逆断層型の北側最大余震)、No.09(三陸沖 M6.1)と直接連結。 岩手沖のデータは本震より前震との連結が強く、福島沖では前震より本震との連結が強い傾向があります。 No.07(北側最大余震)は、No.05(前震)、No.09(三陸沖 M6.1)、No.02(青森沖 M6.1)と直接連結。 No.08(最大余震)は直接連結するデータはありませんでした。他のデータとのリンクも低い。 (2) リンクの次数の分布をみると、 宮城沖から岩手沖、青森沖までnth=1~2が卓越し、連結・リンクが高い傾向が出ています。 北海道浦河沖までリンクが伸びていますが、日高衝突帯ラインは越えていません。 日高衝突帯ラインを越えた千島海溝では、太平洋プレートの沈み込み角度が大きくなっていることが原因と考えられます。 宮城沖からから福島沖まではリンクが高いですが、茨城沖以南ではリンクが低くなっています。 フィリピン海プレートが沈み込んでいる影響と考えられ、千葉県銚子沖辺りでリンクは止まっています。
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