「2011年東北地方太平洋沖地震の断層面を探る」の続きです。
初版と同じく、メカニズム解データは、防災科学技術研究所の「F-net 地震のメカニズム情報」を使用しています。
海底面の深さデータは、日本海洋データセンターが公開している「500mメッシュ水深データ」を使用。
太平洋プレートの沈み込みデータは、
Fuyuki Hirose's HP
で公開されている数値データを使用。
Kita et al. (2010, EPSL)およびNakajima and Hasegawa (2006, GRL)、
Nakajima and Hasegawa (2006, GRL)、弘瀬・他 (2008, 地震)、Nakajima et al. (2009, JGR)
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図1 2011年東北地方太平洋沖地震の仮想断層面 |
M9.0の本震と類似するスペックのデータを検索して震源断層群を抽出し、それらを連結する処理を重ねることで仮想断層面を求めていくのですが、
震源断層群の条件をいくつか変更しました。
・初版ではMain地震はM5.0以上としましたが、地域内地震すべてをMain地震として、Main地震の震源周辺に類似スペックをもつ地震をTarget地震とします。
・傾きの条件:差は10°以内に変更。内部処理にミスがあったのを修正。
・2つの震源断層面(矩形)の距離(Target地震の震源からMain地震に下した「垂線の足」の長さ)は10km以内。
震源断層群の連結では、震源断層群Bodyの傾きの差は10°以内、Body間の距離(これも垂線の足)は10-13km以内に変更。
初版では、どちらかの余震が他方のBody内に分布していることを連結条件としていましたが、カット。形態上の条件で連結可能としました。
図1の日本海溝沿いの点線部分は地震データが少なく、今回も描画できませんでした。
岩手沖エリア日本海溝寄りの領域に描かれた凹みの原因
図1では、岩手沖エリアで日本海溝寄りの領域に大きな凹みが描かれています。
このエリア内で3・11本震と類似スペックをもつ地震を図2に描画してみました。
日本海溝寄りの領域では、地震が上位・下位の層のように厚く連なっています。
仮想断層面の深さは、類似スペックの震源断層面を使って計算しているため、震源が深いデータが多くなると深さも深く求められ、
凹みになってしまいました。
このような領域では、上位面と下位面に分けて深さを計算し、層として描画する必要がありました。
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図2 岩手沖エリアでの3・11類似スペック地震の分布 |
表1 岩手沖エリアでの3・11類似スペック地震(網掛け表示が推定震源断層面)
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年月日 | Mag | 深さ | 節面1 | 節面2 | 位置 |
2011/03/11 | M7.4 | 31km | 31, 70, 102 | 179, 23, 60 | 陸寄り |
2001/08/01 | M4.2 | 34km | 13, 60, 98 | 178, 31, 77 |
2010/07/05 | M6.4 | 34km | 13, 71, 91 | 191, 19, 88 |
2011/06/23 | M6.9 | 36km | 14, 70, 89 | 196, 20, 92 |
2011/03/19 | M6.1 | 12km | 21, 71, 94 | 190, 19, 80 | 日本海溝寄り、上位 |
1998/06/01 | M5.2 | 12km | 17, 70, 90 | 198, 20, 91 |
2015/02/17 | M6.9 | 12km | 24, 70, 98 | 181, 22, 69 |
2011/03/22 | M5.6 | 17km | 34, 72, 105 | 174, 23, 52 |
2011/03/19 | M5.7 | 21km | 26, 72, 96 | 187, 18, 72 |
2008/05/31 | M5.0 | 27km | 22, 75, 96 | 178, 16, 67 |
2014/01/16 | M5.1 | 28km | 23, 65, 100 | 180, 27, 69 |
2011/12/20 | M5.0 | 29km | 30, 74, 106 | 164, 22, 46 |
2011/07/21 | M5.0 | 20km | 31, 62, 110 | 173, 34, 57 | 日本海溝寄り、下位 |
2012/05/21 | M5.2 | 20km | 26, 61, 111 | 169, 35, 58 |
2012/10/02 | M5.0 | 20km | 26, 68, 91 | 205, 22, 89 |
2015/02/25 | M5.0 | 20km | 25, 65, 102 | 177, 28, 65 |
2012/06/22 | M5.3 | 22km | 17, 60, 96 | 185, 31, 80 |
2001/11/26 | M5.1 | 23km | 27, 65, 94 | 199, 26, 82 |
2005/07/06 | M5.2 | 23km | 25, 65, 100 | 182, 27, 69 |
2015/06/11 | M5.6 | 25km | 28, 64, 94 | 199, 26, 82 |
2009/06/20 | M5.4 | 25km | 23, 63, 91 | 199, 27, 87 |
2011/05/24 | M5.8 | 27km | 28, 71, 99 | 182, 20, 66 |
2012/05/19 | M5.2 | 27km | 29, 68, 99 | 186, 24, 69 |
2013/04/02 | M5.7 | 27km | 27, 69, 96 | 190, 22, 74 |
2015/06/11 | M5.9 | 27km | 10, 62, 92 | 186, 28, 87 |
2012/05/20 | M5.1 | 28km | 22, 63, 94 | 193, 27, 82 |
2012/05/20 | M5.5 | 28km | 26, 64, 91 | 203, 26, 87 |
2013/04/02 | M6.2 | 28km | 27, 72, 96 | 187, 19, 71 |
2013/04/02 | M5.3 | 29km | 35, 76, 105 | 169, 21, 45 |
※震源断層群の連結を繰り返すと最初のスペックの範囲外になるデータも出てきますが、 連結関係を満たせば生かしています。
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