東北地方太平洋沖地震の震源断層群:宮城沖ブロック


2011年3月9日 M7.3(前震)発生の2日後、3月11日 M9.0(本震)が宮城沖で発生しました。 前震および本震ともに逆断層型です。
本震、前震の類似スペックデータを抽出するため、表1のように、Mainデータ、Keyデータを選びました。
これらデータの位置を図1に示します。
図1には国土地理院が解析した本震の震源断層面も描画しています。2枚の矩形でモデル化されています。
※Mainデータ・Keyデータ、連結・リンクについては、「震源断層群とは? 類似スペックのデータ群」を参照してください。

表1 主なデータ
 年月日Mag深さkm節面1節面2備考
Main12011/03/11M9.020(23)22,63,91200,27,88宮城沖 本震 28759
Key112011/03/10M6.820(9)22,68,85213,23,101宮城沖 本震のKeyデータ(1次) 28731
Key122011/03/10M6.423(28)22,71,90201,19,89宮城沖 本震のKeyデータ(2次) 28727
Main22011/03/09M7.323(8)27,69,98186,23,70宮城沖 前震 28701
Key022008/12/04M6.123(24)23,68,91200,22,87宮城沖 前震のKeyデータ 25240
深さの値:防災科研の震源深さ、()内は一元化データの震源深さ

図1 主なデータの位置

本震の震源断層パラメータ(国土地理院)
矩形モデル緯度経度上端深さ長さ走向傾きすべり角Mw
[1]38.80144.005.1km186.2km128.5km203.5°15.8°100.8°8.8
[2]37.33142.8017.0km193.9km87.9km203.4°14.7°83.2°8.3


[本震と前震の連結・リンク]
本震と前震は、一元化データの深さで処理したときは直接連結の判定結果を得ていたのですが、F-netの深さで処理すると、次数3の間接連結となりました(表2)。
直接連結の判定には、走向・傾き、地震型(逆断層・正断層・横ずれ断層)などの他に、Targetデータ(Mainの周辺データ)の震源からMainデータの節面に下した垂線の足の長さをチェックしています。 現在、この長さの最大を5kmに設定しています。 一元化データの深さでこの長さを計算した場合は1kmでしたが、F-netの深さで計算すると5kmを越えました(図2参照)。
注目するデータのスペックの値では周辺データから類似するスペックのデータを十分に抽出することができないとき、 注目するデータのスペックに近いデータを選び、このデータのスペック値から類似スペックデータを抽出しています(このデータをKeyデータということにします)。
本震と直接連結するM5.0以上の周辺データはKey11(2011/03/10 M6.8)のみで、Key11からは類似スペックデータを十分抽出することができませんでした。 さらにKey11データと直接連結するデータを検索し、その中から選んだのが Key12の2011/03/10 M6.8です。
図3にみるように、このKey12データは本震と場所、時期も近く、とりわけKey12は、国土地理院の震源断層モデル[1]にもマッチします。 このKey12データを本震のKeyデータとしました。

図2 本震と余震の位置:一元化の深さ(左)とF-netの深さ(右)

図3 本震、Key11、Key12の位置関係

[深さ情報]
図4は、今回使用したデータの震源位置を描画したものです。 赤・緑色は防災科研のF-netが解析した深さを使用、青色は一元化データの深さを使用して描画しています。 沖合のデータで深さの差が目立ちます。
改訂版ではF-netの深さ情報を使用しています。

図4 一元化データとF-netデータの深さ

[連結・リンク情報]
宮城沖ブロックで発生したM5.0以上の地震データとの連結・リンク情報を求めてみました。
表2では、連結・リンクの次数は最大3まで求めています。
本震系の連結・リンクは、図5にみるように、西側(陸寄り)では面的な分布が見られますが、 東側(日本海溝寄り)では、本震の南側にはデータがありません。
抽出したデータは、Key12データの節面2沿いに分布しています。
前震系の連結・リンクは、図6にみるように、北への広がりはあるが、南側、西側への広がりは弱い。 抽出したデータは、Key03の節面2沿いに分布しています。

図5 本震系(Main1-Key11-Key12)の連結・リンク

図6 前震系(Main2-Key02)の連結・リンク

表2 連結・リンク情報
No年月日Mag深さkm節面1節面2Main1Key11Key12Main2Key02
本震系(Main1 - Key11 - Key12)
01 (14560)2001/10/02M5.550(40)18,68,86210,22,10121121
02 (16258)2003/03/03M5.944(41)20,69,91198,21,8932132
03 (18134)2004/05/29M5.938(37)23,72,90202,18,8932132
04 (20784)2005/12/02M6.635(40)21,71,89205,19,9321132
05 (20849)2005/12/17M6.144(39)20,72,91196,19,8632132
06 (26155)2009/08/01M5.038(36)26,69,93196,21,8132132
07 (27082)2010/03/14M6.744(39)20,69,91199,21,8921132
08 (27769)2010/09/01M5.044(42)23,71,91199,19,8621132
09 (28727)2011/03/10M6.423(28)22,71,90201,19,8921022
10 (28731)2011/03/10M6.820(9)22,68,85213,23,10110221
11 (28759)2011/03/11M9.020(23)22,63,91200,27,8801332
12 (29489)2011/03/19M5.247(43)20,72,89204,18,9332132
13 (34216)2011/09/19M5.250(48)26,71,95192,20,7632133
14 (38639)2013/04/14M5.353(51)26,71,97187,20,7132133
15 (40942)2014/09/24M5.153(50)28,69,96191,22,7432133
16 (40943)2014/09/24M5.153(50)20,73,91195,17,8532133
17 (47704)2019/08/04M6.447(45)199,21,8821,69,9121132
18 (48099)2019/12/11M5.344(41)199,23,9712,67,8721132
前震系(Main2 - Key02)
19 (10936)1999/01/22M5.723(10)23,68,96186,22,7522221
20 (12843)2000/07/20M5.423(21)15,64,89197,26,9232311
21 (25240)2008/12/04M6.123(24)23,68,91200,22,8721210
22 (25242)2008/12/04M5.523(16)24,66,90204,24,9021321
23 (28701)2011/03/09M7.323(8)27,69,98186,23,7032301
24 (28702)2011/03/09M6.220(12)22,67,88208,23,9532321
25 (28705)2011/03/09M6.123(11)27,66,93200,24,8421311
26 (28728)2011/03/10M6.311(36)23,66,94193,24,8032321
27 (28730)2011/03/10M6.323(17)20,66,86209,24,9832321
28 (28742)2011/03/10M5.414(23)19,64,88205,26,9521321
29 (28745)2011/03/10M5.214(23)19,65,88204,25,9422321
深さの値:防災科研の震源深さ、()内は一元化データの震源深さ

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