宮崎県沖 震源断層データからみる日向灘周辺の地下 |
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【実験版】特定のスペックをもつ複数の震源断層(震源断層群)の分布から仮想断層面を求めてみました。 宮崎県は、隣接する熊本県、大分県に較べて活断層は少ないですが、沖合の日向灘には南海トラフに連なる活断層があり、地震活動が活発です。 日向灘の活断層は、「[新編] 日本の活断層」によれば、「北北東-南南西方向の構造(琉球弧方向)が卓越する。」 「九州東海岸に近いほど南北方向になっている。」とあります。断層型は縦ずれ型が卓越しています。 今回の地震の対象は図1の点線で囲んだ薄水色の範囲(中心緯度32.06°、経度132.00°、約100×80kmの矩形、走向30°)です。 対象範囲で発生した主な地震 (1970年-2017年、M6.0以上)を表にまとめました。 マグニチュードはM6.0 - M6.9、深さは16 - 38km、マグニチュードがM6.5を越えると大きな余震が続いて起こっています。 (1)-(4)の震源断層データがないため、(5)の 2014/08/29 M6.0 に注目してみました。
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震源断層情報 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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防災科研(防災科学技術研究所)の初動解パラメータ・データ(「F-net 地震のメカニズム情報」)を使用して震源断層情報を調べてみました。 図2-1内の点線で囲んだ検索エリア内で、1997年01月01日 - 2017年08月31日の期間、深さ40km以内で検索し、160 件の震源断層データを得ました。 圧縮応力軸の方位をみると、P軸(最大)の方位は北西-南東(NW-SE)・西-東(W-E)、T軸(最小)は西-東(W-E)方向、N軸(中間)は北-南(N-S)・北東-南西(NE-SW)に顕著です。 圧縮応力軸の傾きをみると、P軸・N軸が水平方向に卓越し(低・中角度が多い)、T軸は高角度が30%と低いですが、中角度と合わせて垂直方向に卓越。 節面情報による断層型分類では、逆断層型 92 件(58 %)、正断層型 60 件(38 %)、横ずれ型 8 件(4 %)。 正断層型もかなりあり、また、逆断層型でも横ずれ成分の強いものがあります
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震源断層データの絞込み | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地下に断層があるとすれば、陸域の活断層でみたように、断層面沿いに類似したスペックをもつ震源断層が分布することが予想されます。 卓越するスペックを調べてみました。 逆断層型データ92件から、走向(8区分)、傾き(0 - 90°を18区分)、深さ(0 - 40 kmを8区分)について、頻度情報を求めました。 走向(8区分)の頻度が高いものは、南西 35件、南 25件で、走向の平均は 207°、 傾きは、25-30°が24件、15-20°が22件、傾きの平均は 26°、 深さは、25-30kmが31件、20-25kmが24件、深さの平均は 22kmとなりました。
逆断層型が示す傾き(18区分)の頻度
逆断層型が示す深さ(8区分)の頻度
逆断層型データを絞り込む条件として、傾きが低角度、走向が南西、南、西を設定しました。 (走向に西区分を加えたのは、2014/08/29 M6.0をデータに含めるためです。) 検索結果60件を得、走向の平均は 219°、傾きの平均は 22°、深さの平均は 21kmとなりました。 スリップベクトル(水平成分)を図4に描画しました。
震源断層フィルターでさらに絞り込む 直方体のフィルターを使って、直方体に含まれる震源断層データのパラメータが指定したスペックに適合するかどうかをチェックしました。 試行を繰り返し、約66×40×8 kmの直方体、走向が230°、傾きが22°、上面(図4で青色の網部分)の中心位置(灰色の球):緯度31.94°、経度132.22°、深さ約9kmとしました。 このフィルターに含まれるデータでも調和しないデータはカットし、 最終的に 23件のデータを得ました。 データのマグニチュードをみると、M6.0が1件で、他はM3、M4クラスです。 図5にフィルターに含まれるデータの震源断層面を描画しました。震源断層面の長さ・幅は表示用に調整しています。 M3クラスの震源断層面では「ひっかき傷」なのかもしれません。
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震源断層群と仮想断層面 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
M6.0以上の浅部地震は、ほとんど既存の断層上で発生しているといわれます。 末尾に掲載している表のデータ中、2014年08月29日 - 2016年12月02日までの震源断層データを図6に描画しました。 2014年08月29日 M6.0(隠れて少ししか見えませんが)、その前後に発生した地震も含めて仮想断層面(走向:230°、傾き:21°)に沿って分布しています。 「気象庁 一元化震源リスト」(「Hi-net 高感度地震観測網」の震源情報)を使用し、 同時期(2014年08月29日 - 2016年12月31日)の震源分布を図7に描画しました。 震源断層データを検索したフィルターを使用し、直方体に含まれる震源で、2014年08月29日 - 2014年12月31日までを赤色で、2015年01月01日 - 2016年12月31日までを青色で 描画しています。震源の分布は、仮想断層面沿いに広がっています。 (2014/08/29 M6.0の余震は、本震直後は高角度の節面に沿った垂直方向に、その後、低角度の節面に沿って発生する複雑な動きをしています。)
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