[産総研(産業技術総合研究所)・活断層データベース]によると、
門前沖活動セグメントは、石川県能登半島西方沖に位置し、北東-南西方向に延びる南東側隆起の逆断層で、右横ずれ成分を伴う。
能登半島沖起震断層に属する、とあります。
「一般傾斜 60°S」とありますので、断層面の傾きは南側に傾き下がっている形です。走行・傾きのスペックに近い値で、
1枚の矩形で描いてみました。
能登半島沖起震断層の周辺では、2007年3月25日能登半島地震(M6.9、N37.22°、E136.68°)が発生し、門前沖の海底に変動が認められた([産総研・活断層データベース])。
また、1993年2月7日、狼煙沖で能登半島沖地震(M6.6、N37°39分、E137°18分, D25km)も発生しています。周辺で起きた地震も図に入れています
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図1 能登半島沖起震断層
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能登半島沖起震断層 |
活動セグメント名 | 一般走向 | 一般傾斜 | 長さ | 断層型 | 変位の向き |
門前沖(もんぜんおき) | N60°E | 60°S | 27km | 逆断層 | S(隆起側) |
輪島沖(わじまおき) | N60°E | 60°S | 33km | 逆断層 | S(隆起側) |
町野沖(まちのおき) | N60°E | 60°S | 16km | 逆断層 | S(隆起側) |
狼煙沖(のろしおき) | N60°E | 60°S | 22km | 逆断層 | S(隆起側) |
門前沖活断層周辺で起きた主な地震 |
- | 年月日 | Mag | 緯度 | 経度 | 深さ | その他 |
(1) | 1729/08/01 | M 6.8 | N 37.383° | E 137.083° | 25km | - |
(2) | 1892/12/09 | M 6.4 | N 37.100° | E 136.683° | 30km | - |
(3) | 1993/02/07 | M 6.6 | N 37.6567° | E 137.2967° | 24km | 能登半島沖地震 |
(4) | 2007/03/25 | M 6.9 | N 37.2207° | E 136.6860° | 10km | 能登半島地震 |
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2007年能登半島地震 M6.9 |
門前町活断層は逆断層で、その断層面沿いで起きた2007年能登半島地震も逆断層。
防災科研(防災科学技術研究所)の初動解パラメータ・データ(「F-net 地震のメカニズム情報」)
を使用してその震源断層を図2に描きました。
断層面の長さ、幅は国土地理院の源断層パラメータを参考にしました。
図3は、2007年03月25日 - 2007年06月30日にかけて、門前沖活断層の断層面沿いに起きた地震のうち、
走向、傾きが近似しているものを描いています(防災科研初動解パラメータを使用)。
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図2 2007年能登半島地震
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図3 断層面沿いに起きた地震
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2007年能登半島地震の初動解パラメータ [防災科研より] |
緯度 | 経度 | 深さ | 節面1 | 節面2 | Mw |
走向 | 傾き | すべり角 | 走向 | 傾き | すべり角 |
37.22° | 136.68° | 10km | 58° | 66° | 132° | 173° | 48° | 34° | 6.7 |
2007年能登半島地震の震源断層パラメータ [国土地理院より] |
緯度 | 経度 | 上端深さ | 長さ | 幅 | 走向 | 傾き | すべり角 | すべり量 | Mw |
37.19° | 136.55° | 1.2km | 21.2km | 13.9km | 55° | 63° | 137° | 1.65m | 6.7 |
※位置は断層の左上端 |
門前沖活断層の断層面沿いに起きた地震(一部) [防災科研初動解パラメータより] |
年月日 | Mag | 緯度 | 経度 | 深さ | 断層型 | 走向 | すべり方向 |
2007/03/25 | M 6.9 | 37.2207° | 136.6860° | 10km | 逆断層 | NE | W |
2007/03/25 | M 5.3 | 37.3043° | 136.8395° | 13km | 逆断層 | NE | NW |
2007/03/26 | M 4.4 | 37.2703° | 136.6570° | 4km | 逆断層 | N | W |
2007/04/06 | M 4.3 | 37.2673° | 136.7902° | 11km | 逆断層 | NE | NW |
2007/05/05 | M 4.5 | 37.0737° | 136.4170° | 0km | 逆断層 | NE | W |
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防災科研の初動解データと震源球図からP軸(最大圧縮応力軸)、T軸(最小圧縮応力軸)情報を
まとめてみました。
図の点線エリア内で検索(期間:2007年03月25日 - 2007年06月30日)。
軸の方位をみると、P軸(最大圧縮応力軸)の方位はW-Eが卓越。東西から圧縮されています。
軸の傾きをみると、P軸が水平方向に卓越し、T軸(最小圧縮応力軸)が垂直方向に多いことから、逆断層型が多いことが分かります。
T軸の傾きをみると、高角度は48%と低くなっています。N軸(中間圧縮応力軸)の傾きが中・高角度にも
分布しています。横ずれ型も発生しています。
すべり角からみた断層型は、逆断層 36件(69%)、正断層 0件(0%)、横ずれ 16件(31%)でした。
逆断層でSide強が32%、横ずれ断層でもUP強が25%と、縦ずれ成分と横ずれ成分が混在しています。
- | 軸の方位 | 軸の傾き |
N - S | NE-SW | W - E | NW-SE | 低角度 | 中角度 | 高角度 |
P軸(最大圧縮応力軸) | 0件(0%) | 2件(4%) | 37件(71%) | 13件(25%) | 48件(92%) | 4件(8%) | 0件(0%) |
T軸(最小圧縮応力軸) | 20件(38%) | 10件(19%) | 9件(17%) | 13件 (26%) | 9件 (17%) | 18件 (35%) | 25件 (48%) |
N軸(中間圧縮応力軸) | 30件(58%) | 18件(35%) | 1件(2%) | 3件 (5%) | 32件 (62%) | 15件 (29%) | 5件 (9%) |
すべり角による断層型(縦ずれ・横ずれ成分の強弱)情報 |
逆断層 36 件(69 %) | 正断層 0 件(0 %) | 横ずれ 16 件(31 %) |
UP強 19 件 (37 %) | Side強 17 件 (32 %) | DOWN強 0 件 (0 %) | Side強 0 件 (0 %) | Side強 1 件 (2 %) | UP強 13 件 (25 %) | DOWN強 2 件 (4 %) |
※断層型は、震源断層面を余震分布で推定した結果を使用しています。 |
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2007年能登半島地震の余震活動 |
図7は、「気象庁 一元化震源リスト」(「Hi-net 高感度地震観測網」の震源情報)を使用して、
本震の震源断層面を含む直方体に含まれる余震(2007年03月25日 - 2007年06月30日)を描画してみると、
余震は、門前沖活断層のみならず、東側の輪島沖活断層の領域にも食い込んでいます。
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図7 2007年能登半島地震の余震活動
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