[産総研(産業技術総合研究所)・活断層データベース]によると、
北上西活断層は、岩手県西部、北上盆地の西縁をほぼ南北方向に延びる西側隆起の逆断層です。
(花巻・北上西起震断層に属する。)
「一般傾斜 45°W」とありますので、断層面は西側に傾き下がる形です。
逆断層型なので、断層面を境に西側の山地(断層面の上側)が隆起を繰り返してきました。
走行・傾斜のスペックに近い値で、1枚の矩形で描いてみました。周辺で起きた地震も図1に入れました。
※2008年岩手・宮城内陸地震の地震断層ラインは、名古屋大学環境学研究科資料
「2008 岩手・宮城内陸地震 震源域付近の活断層予察図(ver2.0)」から位置を読み取りました。
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図1 花巻・北上西起震断層(一部)
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花巻・北上西起震断層 |
活動セグメント名 | 一般走向 | 一般傾斜 | 長さ | 断層型 | 変位の向き |
鵜飼(うかい) | N10°E | 45°W | 11km | 逆断層 | W(隆起側) |
花巻(はなまき) | N10°E | 45°W | 42km | 逆断層 | W(隆起側) |
北上西(きたかみにし) | N10°W | 45°W | 27km | 逆断層 | W(隆起側) |
北上西活断層周辺で起きた主な地震 |
- | 年月日 | Mag | 緯度 | 経度 | 深さ | その他 |
(1) | 1923/10/09 | M 6.1 | N 39.0663° | E 140.6360° | 0km | - |
(2) | 1970/10/16 | M 6.2 | N 39.2118° | E 140.7543° | 17km | - |
(3) | 1996/08/11 | M 6.1 | N 38.9082° | E 140.6335° | 8km | - |
(4) | 2008/06/14 | M 7.2 | N 39.0298° | E 140.8807° | 7km | 岩手・宮城内陸地震 |
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2008年 岩手・宮城内陸地震 M7.2 |
2008年岩手・宮城内陸地震は東北内陸によくみられる逆断層型で、
北上西活断層の周辺で起きた地震としてはマグニチュードが7を超える大地震でした。
北上西活断層の延長に起きましたが、この地震発生前、既存の活断層とみられる痕跡は地表に現れていませんでした。
防災科研(防災科学技術研究所)の初動解パラメータ・データ(「F-net 地震のメカニズム情報」)
を使用して震源断層のイメージを図2に描画しました。
震源断層面の長さ、幅は、国土地理院のパラメータを参考にしました。
図3は、本震で現れた地震断層面沿いに起きた余震も描画しました。
(防災科研の初動解パラメータ・データから検索:2008年06月14日-2008年09月30日)
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図2 2008年岩手・宮城内陸地震
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図3 断層面沿いに起きた地震
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2008年岩手・宮城内陸地震の震源断層パラメータ[国土地理院より] |
緯度 | 経度 | 上端深さ | 長さ | 幅 | 走向 | 傾き | すべり角 | すべり量 | Mw |
39.05° | 140.93° | 0.4km | 20km | 12km | 198° | 31° | 74° | 3.5m | 6.9 |
※位置は断層の左上端 |
2008年岩手・宮城内陸地震の初動解パラメータ[防災科研より] |
緯度 | 経度 | 深さ | 節面1 | 節面2 | Mw |
走向 | 傾き | すべり角 | 走向 | 傾き | すべり角 |
39.02° | 140.88° | 7km | 209° | 51° | 104° | 8° | 41° | 74° | 6.9 |
地震断層の断層面沿いに起きた地震(一部) [防災科研初動解パラメータより] |
年月日 | Mag | 緯度 | 経度 | 深さ | 断層型 | 走向 | すべり方向 |
2008/06/14 | M 7.2 | 39.0298° | 140.8807° | 7km | 逆断層 | SW | E |
2000/02/11 | M 4.7 | 39.0218° | 140.9122° | 13km | 逆断層 | S | SE |
2008/06/14 | M 5.2 | 39.1427° | 140.9433° | 10km | 逆断層 | SW | E |
2008/06/14 | M 4.7 | 39.1335° | 140.9058° | 11km | 逆断層 | SW | SE |
2008/06/14 | M 4.8 | 38.9952° | 140.8900° | 9km | 逆断層 | SW | SE |
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防災科研の初動解データと震源球図からP軸(最大圧縮応力軸)、T軸(最小圧縮応力軸)情報を
まとめてみました。
図の点線エリア内で検索(期間:2008年06月14日-2008年09月30日)。
軸の方位をみると、P軸の方位はW-E、NW-SEが卓越している。東西から圧縮されている。
軸の傾きをみると、P軸(最大圧縮応力軸)が水平方向に、T軸(最小圧縮応力軸)が垂直方向に卓越していることから、逆断層型が多い。
すべり角からみた断層型は、逆断層 60件(97%)、正断層 0件(0%)、横ずれ 2件(3%)で、逆断層がほとんど。
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図4 検索エリア
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図5 P軸、T軸の方位
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図6 P軸、T軸の傾き
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- | 軸の方位 | 軸の傾き |
N - S | NE-SW | W - E | NW-SE | 低角度 | 中角度 | 高角度 |
P軸(最大圧縮応力軸) | 6件(10%) | 1件(2%) | 34件(55%) | 21件(33%) | 60件(97%) | 2件(3%) | 0件(0%) |
T軸(最小圧縮応力軸) | 10件(16%) | 17件(27%) | 16件(26%) | 19件 (31%) | 1件 (2%) | 5件 (8%) | 56件 (90%) |
N軸(中間圧縮応力軸) | 35件(56%) | 20件(32%) | 6件(10%) | 1件 (2%) | 58件 (94%) | 2件 (3%) | 2件 (3%) |
すべり角による断層型(縦ずれ・横ずれ成分の強弱)情報 |
逆断層 60 件(97 %) | 正断層 0 件(0 %) | 横ずれ 2 件(3 %) |
UP強 45 件 (73 %) | Side強 15 件 (24 %) | DOWN強 0 件 (0 %) | Side強 0 件 (0 %) | Side強 0 件 (0 %) | UP強 2 件 (3 %) | DOWN強 0 件 (0 %) |
※断層型は、震源断層面を余震分布で推定した結果を使用しています。 |
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2008年岩手・宮城内陸地震の余震活動 |
図7は、「気象庁 一元化震源リスト」(「Hi-net 高感度地震観測網」の震源情報)を使用して、
本震の震源断層面を含む直方体に含まれる余震(2008年06月14日-2008年12月31日)を描画してみると、
余震は、本震の震源断層面だけでなく、北上西活断層の断層面の領域にも食い込んでいます。
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図7 2008年岩手・宮城内陸地震の余震活動
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