震源断層群とは? 類似スペックのデータ群 |
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地震活動で断層のずれが進行し、そのずれた領域は震源断層面として矩形(長方形)でモデル化されます。 図1のように、震源断層面は、長さ、幅、走向、傾きで表されます。走向は、北と矩形の上端ラインの角度を時計回りに表します。傾きは矩形と水平面との角度です。 すべり角は、断層の下盤に対して上盤がどの向きにずれたかを、下盤の水平線からの角度で反時計回りに表します。 2つの節面 震源断層の解析結果は、図2のように、2つの節面(長方形)で表されます。 節面は震源断層面の候補で、観測データから、どちらかひとつ、あるいは2つの節面が震源断層面として推定されます。 P波の押し引きから震源過程を解析したものは初動解(初動発震機構解)と呼ばれます。規模の小さい地震でも解析されています。 長周期の地震波から解析したものはCMT(セントロイド・モーメント・テンソル)解と呼ばれます。地震の規模が大きいデータが対象です。 ここでは、データ数が多い初動解を使用します。
類似スペックデータの抽出 注目するデータを選び、その周辺から注目するデータのスペックに類似するデータを抽出します。 (注目するデータを Mainデータ、抽出する類似スペックデータを Targetデータと呼ぶことにします。) チェックするスペックは、断層型(逆断層・正断層・横ずれ)、走向、傾き、MainとTargetとの距離です。 類似スペックの条件: ・断層型:震源球の押し引き領域やP軸・T軸・N軸から断層型(逆断層、正断層、横ずれ)をチェックします。 ・走向:走向差は、15°以内(横ずれ型のとき、MainとTargetが鉛直面に対して反対側にある場合は、走向に注意)。 ・傾き:傾き差は、横ずれ型のときは10°以内、縦ずれ型(逆断層、正断層)のときは5°以内。 ・距離:Targetの震源からMainの震源断層面に下した垂線の長さが5km以内。 Mainデータから求めた類似スペックデータをMainデータの震源断層群と呼ぶことにします。 震源断層体 類似スペックデータの分布から計算した領域を直方体で表し、震源断層体と呼ぶことにします。 震源断層体の位置はMainデータの震源とし、Mainの断層型、走向、傾きも震源断層体のスペックとします。 震源断層体の長さと幅は、Mainの位置(震源)から類似スペックデータがどこまで分布しているかを計算して値とします。 長さL = Lright(右側部分) + Lleft(左側部分)、幅W = Wup(上側部分) + Wdown(下側部分) 高さは8~10km。高さの中点に断層面を想定します。 ※震源断層面は地震の破壊領域を表しますが、震源断層体の想定断層面は類似するデータの分布範囲を表します。
震源断層体の位置関係は、 ・重なる(ほとんど重なる。一部が重なる) ・交叉する。分岐する。 ・離れている(横方向にある。上方にある。下方にある) 等の場合があります。 複数の震源断層体の想定断層面がつながる、連続するような位置関係を考えます。 震源断層体の連結 震源断層体Aと震源断層体Bが類似スペックをもち、かつ、Aの内部にBの想定断層面が含まれるとき、AとBは連結するとします。 ○震源断層体の類似性チェック: ・震源断層体の断層型の一致。 ・走向差:15°以内。 ・傾き差:横ずれの場合、10°以内、逆断層・正断層の場合、5°以内。 ・距 離:Bの位置(Bの震源)からAの想定断層面に下した垂線の長さが5km以内。 ○「つながる」状態の判定: ・震源断層体Aの内部に震源断層体Bの想定断層面が含まれる。 連結の方向性:震源断層体AからBへの連結条件が満たされても、BからAへの連結条件は満たされない場合があります。
連結・リンク情報 2つの震源断層体を比較して得た直接連結情報をデータベース化すると、離れた位置にある震源断層体との間接連結情報を得ることができます。 例えば、A-B、B-Cが直接連結のとき、AとCが直接連結していなくても、間接連結(リンク:1次連結+1次連結=2次連結)していると考えます。 リンクに必要な直接連結の最小数をリンクの次数(nth)と呼ぶことにします。 例えば、A-B(直接連結)のとき次数は1,A-B-Cのときは次数2、A-B-C-Dは次数3となります。 近距離にある震源断層体間のリンクの次数が nth=3~4 の場合、走向、傾きのスペックや位置関係について差が大きいことが予想されます。 地域における類似スペックのバラツキ状態を表すと考えます。 Key震源断層体 間接連結でリンクの次数が3以上になると、間に入る直接連結の数とその組合せが大幅に増えてきます。 このようなとき、数多くのリンク先をもち、かつ、数多くのリンクを受ける震源断層体が連結・リンク情報の要になります。 要となる震源断層体をKey震源断層体と呼ぶことにします。 |